善管注意義務の内容・程度
変更点
旧法 | 新法 |
【400条】(特定物の引渡しの場合の注意義務) 債権の目的が特定物の引渡しであるときは,債務者は,その引渡しをするまで,善良な管理者の注意をもって,その物を保存しなければならない。 |
【400条】(特定物の引渡しの場合の注意義務) 債権の目的が特定物の引渡しであるときは,債務者は,その引渡しをするまで,契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる善良な管理者の注意をもって,その物を保存しなければならない。 |
説明
実務上,善管注意義務の内容や程度は,契約の性質,契約の目的,契約の締結に至る経緯等の債権の発生原因となった契約に関する諸事情を考慮し,併せて取引に関して形成された社会通念をも勘案して定まるものと考えられるため,新法においては,「契約その他の債権の発生原因及び取引上の社会通念に照らして定まる」との文言を加えることにより,こうした判断枠組みを条文上明らかにしています(新法§400)。
選択債権の特定
変更点
旧法 | 新法 |
【410条】(不能による選択債権の特定) 2項:選択権を有しない当事者の過失によって給付が不能となったときは,前項の規定は,適用しない。 |
【410条】(不能による選択債権の特定) 債権の目的である給付の中に不能のものがある場合において,その不能が選択権を有する者の過失によるものであるときは,債権は,その残存するものについて存在する。 |
説明
旧法では,選択債権の目的である数個の給付の中に不能のものがある場合には,原則として残存する給付が当然に債権の目的となるとされていました(旧法§410)。
しかし,不能のものを選択する方が選択権者にとって有利であることもあり,これを認めても選択権を有しない他方当事者の負担が重くなるものでもありません。
他方で,給付の不能が選択権者の過失による場合には,選択権者がその給付を選択することができるとするのは,公平の観点から相当ではありません。
そこで,新法では,数個の給付の中に不能のものがある場合には,給付の不能が選択権者の過失によるときに限り,残存する給付が当然に債権の目的となるとしています(新法§410)。
確認問題〔債権の目的〕
新法に基づいて回答してください!(全2問)