【2020年民法改正】使用貸借④―用法違反【勉強ノート】

用法違反による損害賠償請求権の時効消滅の完成猶予

旧法 新法
【600条】(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は,貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

【600条】(損害賠償及び費用の償還の請求権についての期間の制限)
1項:契約の本旨に反する使用又は収益によって生じた損害の賠償及び借主が支出した費用の償還は,貸主が返還を受けた時から一年以内に請求しなければならない。

2項:前項の損害賠償の請求権については,貸主が返還を受けた時から一年を経過するまでの間は,時効は,完成しない。

 旧法では,借主の用法違反による貸主の損害賠償請求権について,使用貸借契約期間中に用法違反があり,それから使用貸借が終了することなく10年間が経過した場合,その後,貸主が借主から目的物の返還を受け,用法違反の存在に気付いても,当該損害賠償請求権は時効消滅しているため(旧法§167Ⅰ),貸主はもはや損害賠償を請求することができないことになっていました。

 このように使用貸借の期間が長期にわたり,借主が用法違反をした時から10年以上経過しても使用貸借が存続しているような場合は,目的物が借主の管理下にあるため,貸主が目的物の状況を把握することができないうちに消滅時効が完成してしまい,目的物の返還を受けて損害賠償請求をしようとしても,請求権自体が時効により消滅してしまっているという不合理な事態が生じかねません。

 そこで,新法では,貸主保護の観点から,借主の用法違反による貸主の損害賠償請求権については,貸主が返還を受けた時から1年を経過するまでは,消滅時効の完成を猶予する旨の規定が新設されました(新法§600Ⅱ)。

確認問題〔使用貸借④―用法違反〕

新法に基づいて回答してください!(全1問)

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