和解条項基本類型の種類及び記載順序の記憶法

 和解条項は事案に応じて柔軟に練り上げられるものですが,その中でも,基本となる条項として,①確認条項,②形成条項,③給付条項,④不履行時/履行時の条項,⑤関連事件の処理に関する条項,⑥放棄条項,⑦清算条項,⑧訴訟費用負担条項が存在します。

 ①~⑦の条項の意義等については下表のとおり。

条項 意義 記載例
確認条項 特定の権利又は法律関係の存在又は不存在を確認する旨の合意を内容とする条項

「被告は,原告に対し,本件割賦販売残代金として〇万円及びこれに対する平成〇年〇月〇日から支払済みまで年6分の割合による遅延損害金の支払義務があることを認める。」

「原告と被告は,Aと被告との間の,別紙物件目録記載の不動産の10分の5の持分権について令和〇年〇月〇日付け贈与契約が有効であることを相互に確認する。」

形成条項 当事者が自由に処分することができる権利関係又は法律関係について,新たな権利(義務)又は法律関係の発生,変更又は消滅の効果を生じさせる合意を内容とする条項 「原告及び被告は,本件建物についての本件賃貸借契約を合意解除する。」
給付条項 当事者の一方が相手方に対し,特定の給付をすることを合意の内容とする条項

「被告は,原告に対し,前項の金員を,次のとおり分割して,原告方に持参又は送金して支払う。

(1) 平成〇年〇月〇日限り元金に〇万円

(2) 平成〇年〇月から平成〇年〇月まで毎月〇日限り元金に〇万円ずつ

(3) 平成〇年〇月〇日限り遅延損害金全部」

不履行時/履行時の条項

「被告が前項の分割金の支払を怠り,その額が〇万円に達したときは,当然に同項の期限の利益を失い,被告は,原告に対し,第2項の金員から第3項による既払金を控除した残金及びこれに対する期限の利益を失った日の翌日から支払済みまで年1割の割合による遅延損害金を支払う。」/「被告が第2項の(1)ないし(3)の金員を,期限の利益を失うことなく完済したときは,原告は,被告に対し,(4)の利息金の支払義務を免除する。」

関連事件の処理に関する条項 紛争の解決方法として,本案事件と関連のある他の事件についての合意を定めた条項 「原告は,被告に対する当庁平成〇年(ヨ)第〇号不動産処分禁止仮処分命令申立事件を取り下げる。」
放棄条項 他に原告が請求しているものがあっても,これを放棄し,訴訟を終了させる条項 「原告は,その余の請求を放棄する。」
清算条項 和解の当事者間(参加した利害関係人を含む。)では,和解成立の時点においては,この和解条項で示す内容の権利義務が存在するのみであって,それ以外の債権債務は存在しないことを確認し,法律関係を明瞭にするための条項 「原告及び被告は,原告と被告の間には,本件賃貸借契約に関し,この和解条項に定めるもののほか何ら債権債務がないことを相互に確認する。」
訴訟費用負担条項 訴訟費用の負担方法について定めた条項

「訴訟費用は各自の負担とする。」

※ 訴訟追行者に含まれない利害関係人も参加して和解を成立させた場合は,「訴訟費用及び和解費用は各自の負担とする。」

 そして,これらの条項には記載順序が存在し,記載順序は紛争解決の論理的順序に従って決せられます。

 具体的には,①確認条項→②形成条項→③給付条項→④不履行時/履行時の条項→⑤関連事件の処理に関する条項→⑥放棄条項→⑦清算条項→⑧訴訟費用負担条項という順序で記載することになります。

 そして,この記載順序は,「過激派のふりして,関東地方に生息しよう」という語呂合わせで記憶したらよいと教わりました。

 つまり,

 こういう語呂合わせですね笑

 相当に無理のある語呂合わせな気もしますが,基本類型とその記載順序の両方が一気に記憶できます!笑

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