【刑弁起案】想定弁論起案の型

 想定弁論起案は,刑弁起案の中核です。

 私は刑弁起案であまり芳しい成績をとることができなかったので,教官の講評や,他の修習生からいただいた複数のA評価の起案で勉強させていただき,作成しました。

 なお,修習期によって,「このように書くべし」という起案のスタイルは変動する可能性があることをご了承ください。

第1 結論

 被告人の本件暴行につき,傷害致死罪が成立することは争わない。しかし,…であって,「急迫不正の侵害」が認められるから,過剰防衛が成立する。

 被告人には,懲役〇年の執行猶予付き判決が相当である。

第2 理由

 1 急迫不正の侵害の有無について

  本件の争点は,過剰防衛における「急迫不正の侵害」の有無である。具体的には,…という事実の有無が争点となっている。

  しかし,そのような事実は存在しない。以下,その理由を述べる。

  (1) …と述べるX証言は信用できない

   ア 証言の欠落

    (ア) Xは,…と証言する。しかし,Xは,令和〇年〇月〇日の警察署での取調べでは,このような供述は全くしていない(開示2)。

    (イ) …という事実の有無は,事件直前の状況に関するものであるため,事件の核心部分である。そうであれば,警察官は,同日の取調べにおいて,Xに対し,事件直前の状況について尋ね,Xは記憶に基づいて供述し,警察官はそれを正確に録取したはずである。

       それにもかかわらず,前述のとおり,…という事件の核心部分につき,供述の欠落が生じている。

    (ウ) その理由につき,Xは,「……」と述べる(甲5)。

       しかし,…であるため,Xの述べる欠落の理由は不合理である。

    (エ) むしろ,このような供述の欠落が生じた理由は,次のように考えるべきである。

       …

   イ Xの視認状況の悪さ

    …

    …

   エ 小括

    以上より,Xの前記証言は信用することができない。

    よって,当該証言は事実認定の基礎とされるべきではないから,当該証言から,…との事実を認定することはできない。

  (2) 以下の間接事実を総合しても,…との事実は認められない

   ア Vが…したのは,被告人の…が原因ではない

    検察官は,…と主張する。しかし,その事実の推認力は弱い。

    …であるからである。

    …

    …

   エ 間接証拠の総合評価を踏まえた弾劾

    …であるため,…という事実を認めるには,合理的な疑いが残る。

  (3) 被告人供述が信用できること

   ア 争点に関する被告人供述の内容

    被告人は,…と供述する。

   イ 信用できる理由 

    …であるため,被告人の前記供述は信用することができる。

  (4) 結論

   以上のとおり,被告人が,被害者に…される前に,…したとの事実は認められないから,被害者の…という行為は,被告人に対する「急迫不正の侵害」に当たる。

   以上より,被告人の本件暴行に過剰防衛が成立する。

 2 量刑について   ※ 無罪の弁論では,量刑について論じてはならない。

  (1) 結論

   本件においては,被告人には,懲役3年の執行猶予付き判決が相当である。

  (2) 理由

   ア 犯情

    (ア) 類型と傾向

      本件では,量刑グラフ②を参照すべきである。

      その理由は,…

    (イ) 本件犯情は悪質性が低く軽い部類

     a 行為態様

      …

     b 意思決定に対する非難の程度

      …

     c 結果

      …

   イ 一般情状

    (ア) 有利に考慮されるべき事情

     …

    (イ) 有利に考慮される理由

     …

   エ 結論

    以上のとおり,被告人に再犯可能性はなく,被告人は,刑務所での矯正教育がなくても更生可能であるから,被告人には,懲役3年の執行猶予付き判決が相当である。

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