変更点
旧法 | 新法 |
規定なし | 【539条の2】 契約の当事者の一方が第三者との間で契約上の地位を譲渡する旨の合意をした場合において,その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは,契約上の地位は,その第三者に移転する。 |
新法では,最判昭和30年9月29日や学説を踏まえ,契約の当事者の一方が第三者との間で自己の有する契約上の地位を譲渡する合意をした場合において,その契約の相手方がその譲渡を承諾したときは,契約上の地位は,その第三者に移転する旨の規定が新設されました(新法§539の2)。
一般に,契約上の地位の移転は債務引受の性質を有するため,契約の相手方の承諾を要求することにしました。
契約上の地位を譲渡する旨の合意がされ,契約の相手方が承諾したときは,契約上の地位は譲渡人から譲受人に移転する結果,譲渡人は契約関係から離脱することになります。
ただし,譲渡人が契約関係から離脱したからといって,譲渡人は,契約相手方に対して負担していた債務を当然に免れるわけではありません。
譲渡人が,契約関係から離脱した後も,契約相手方に対する債務を負担し続けることになるかどうかは,契約上の地位の移転に関する合意の内容や解釈により決せられることになります(とはいえ,中間試案補足274頁では,「契約上の地位の移転に伴って,譲渡人は免責されるのが原則である」と説明されており,譲渡人が契約関係から離脱した場合,契約相手方に対する債務も免れる場合が多いと考えられます。)。
ちなみに,ここにいう「契約上の地位の移転」とは,事業譲渡のような特定承継における当事者の合意による移転を指し,相続や合併といった包括承継や,裁判所の命令に基づく移転といった当事者の合意によらない移転は,新法§539の2の規律の対象外とされています。
確認問題
特になし。