【2020年民法改正】弁済④―弁済の充当【勉強ノート】
2020.01.25
弁済充当規定の再整理
旧法 |
新法 |
【488条】(弁済の充当の指定) 1項:債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において,弁済として提供した給付がすべての債務を消滅させるのに足りないときは,弁済をする者は,給付の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
2項:弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは,弁済を受領する者は,その受領の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし,弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは,この限りでない。
3項:前二項の場合における弁済の充当の指定は,相手方に対する意思表示によってする。
【489条】(法定充当) 弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも前条の規定による弁済の充当の指定をしないときは,次の各号の定めるところに従い,その弁済を充当する。 一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは,弁済期にあるものに先に充当する。 二 すべての債務が弁済期にあるとき,又は弁済期にないときは,債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。 三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは,弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。 四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は,各債務の額に応じて充当する。
【490条】(数個の給付をすべき場合の充当) 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,前二条の規定を準用する。
【491条】(元本,利息及び費用を支払うべき場合の充当) 1項:債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,これを順次に費用,利息及び元本に充当しなければならない。
2項:第四百八十九条の規定は,前項の場合について準用する。
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【488条】(同種の給付を目的とする数個の債務がある場合の充当) 1項:債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において,弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき(次条第一項に規定する場合を除く。)は,弁済をする者は,給付の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができる。
2項:弁済をする者が前項の規定による指定をしないときは,弁済を受領する者は,その受領の時に,その弁済を充当すべき債務を指定することができる。ただし,弁済をする者がその充当に対して直ちに異議を述べたときは,この限りでない。
3項:前二項の場合における弁済の充当の指定は,相手方に対する意思表示によってする。
4項:弁済をする者及び弁済を受領する者がいずれも第一項又は第二項の規定による指定をしないときは,次の各号の定めるところに従い,その弁済を充当する。 一 債務の中に弁済期にあるものと弁済期にないものとがあるときは,弁済期にあるものに先に充当する。 二 全ての債務が弁済期にあるとき,又は弁済期にないときは,債務者のために弁済の利益が多いものに先に充当する。 三 債務者のために弁済の利益が相等しいときは,弁済期が先に到来したもの又は先に到来すべきものに先に充当する。 四 前二号に掲げる事項が相等しい債務の弁済は,各債務の額に応じて充当する。
【489条】(元本,利息及び費用を支払うべき場合の充当) 1項:債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合(債務者が数個の債務を負担する場合にあっては,同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担するときに限る。)において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,これを順次に費用,利息及び元本に充当しなければならない。
2項:前条の規定は,前項の場合において,費用,利息又は元本のいずれかの全てを消滅させるのに足りない給付をしたときについて準用する。
【490条】(合意による弁済の充当) 前二条の規定にかかわらず,弁済をする者と弁済を受領する者との間に弁済の充当の順序に関する合意があるときは,その順序に従い,その弁済を充当する。
【491条】(数個の給付をすべき場合の充当) 一個の債務の弁済として数個の給付をすべき場合において,弁済をする者がその債務の全部を消滅させるのに足りない給付をしたときは,前三条の規定を準用する。
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本改正は,旧法§488~§491の適用関係が分かりづらかったことから,分かりやすくするため,条文を整理し直したり,弁済者と弁済受領者の間で充当の順序を合意できることを明文化したものであり,新法§488~§491の実質的内容は旧法§488~§491と変わりはありません。
新法§488は,「債務者が同一の債権者に対して同種の給付を目的とする数個の債務を負担する場合において,弁済として提供した給付が全ての債務を消滅させるのに足りないとき」に適用されます。
新法§489は,「債務者が一個又は数個の債務について元本のほか利息及び費用を支払うべき場合において,弁済をする者がその債務を全部を消滅させるのに足りない給付をしたとき」に適用されます。
新法§490と新法§491は,いずれの場面にも適用され得る規定です。
ある弁済について,新法§488~§490の規定のいずれに基づいて充当していくかについては,条文を座右に置きながら,以下のフローチャートをご覧ください。
確認問題
特になし。
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