担保責任
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【596条】(貸主の担保責任) 第五百五十一条の規定は,使用貸借について準用する。 |
【596条】(貸主の引渡義務等) 第五百五十一条の規定は,使用貸借について準用する。 |
旧法§596と新法§596とを見比べて,「あれ?何も変わってないやん」って思いませんでしたか?
確かに,両者の文言には変化はありません。
両者で変わったのは,それぞれ準用する旧法§551Ⅰと新法§551Ⅰの規定内容なのです(旧法§551Ⅱと新法§551Ⅱは変化ありません)。
旧法§551Ⅰでは,贈与者が,目的物の瑕疵につき悪意でありながら,受贈者に告知しなかった場合を除き,贈与者は,その瑕疵ある目的物を受贈者に引き渡せば足り,それによって担保責任を負うことはないとされていましたが,新法下で契約責任説が採用されたことに伴い,新法§551Ⅰでは,贈与者が契約内容に適合した目的物の引渡義務を負うことを前提とした上で,その目的物について,目的物を特定した時の状態で引き渡すことを合意していたものと推定することとされました。
そして,使用貸借についても,贈与と同じく無償契約であることに鑑み,この贈与の担保責任に関する規定がそのまま準用されているのです。
したがって,使用貸借でも,貸主が契約内容に適合した目的物の引渡義務を負うことを前提とした上で,その目的物について,目的物を特定した時の状態で引き渡すことを合意していたものと推定することとされています(新法§596)。
そうすると,贈与の場合と同様に,当事者間で異なる合意等がなされていたことが立証されない限りは,貸主は,使用貸借の目的として特定した時の状態で目的物を引き渡せば足りることになります。
なお,担保責任として,借主は,①追完請求のほか,②損害賠償請求や契約解除をなし得ることになるでしょう。
これらについて特別の規定は設けられていませんが,①については使用貸借の意義から,②については債務不履行の一般原則(新法§415,§541,§542)から導かれることになると考えられます。
確認問題
特になし。