本稿のテーマ
会社の形態には,①合名会社,②合資会社,③合同会社,④株式会社等があります[1]。
起業にあたって,どの会社形態を選択すればよいのでしょうか。
[1] 他に有限責任事業組合(LLP)という形態も存在します。
よく選ばれる会社形態
これらのうち,起業にあたり,選択されることが多いのは,③合同会社と④株式会社であり,
①合名会社や②合資会社は,会社の責任と社員の責任が完全には分離されておらず,社員個人が無限定に会社の責任を負わされるおそれがあり,リスクが高いからです。
これに対し,③合同会社や④株式会社の場合は,社員個人や株主個人が出資額以上の責任を負わされることはありません。
このことから,特別の事情がない限り,起業にあたっては,③合同会社か④株式会社が選択されます。
合同会社と株式会社
では,③合同会社と④株式会社だと,どちらの方がよいでしょうか。
この点については,どちらがよいとは一概には言えませんが、実務上、株式会社の方が投資家やコンサル等にとって馴染みがあるため、理解を得やすく、将来IPOを視野に入れているのであれば、とりあえず株式会社を選択しておくことで大失敗するということは基本的にないと考えられます。
以下に,それぞれの長所と短所をまとめましたので,どちらの会社形態を選択するかの参考にしてください。
合同会社 | 株式会社 | |
設立手続 | 簡単 (定款の認証不要) |
煩雑 |
設立費用 | 安い (6万円~10万円程度) |
高い (20万円~24万円程度) |
機関設計 | シンプル | 豊富 |
内部自治 | 制約なし | 株主総会+最低取締役1名 |
株式の活用 | 不可 | 可 (⇒株式による資金調達等が可能) |
利益分配方法の自由度 | 自由 | 株式数に比例 |
決算公告の要否 | 不要 | 必要 |
役員の任期の制限の有無 | 無制限 | 制限あり (最長10年間) |
上場(IPO)の可否 | 不可 | 可 |
なお,最初に合同会社を選択した場合でも,後から株式会社に変えることは可能です。
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