【改正会社法】株式交付の手続の流れ等【2021年3月1日施行】

改正の骨子

  • 他の株式会社をより円滑に子会社化する制度として「株式交付」が新設されました。
  • 本改正では、株式交付を実施するにあたり履践すべき手続、株主や債権者を保護する制度等が整備されました(改正法§774の2~§774の11,§816の2~§816の10等)。

株式交付制度の概要

 株式交付は、株式会社(「株式交付親会社」)が他の株式会社(「株式交付子会社」)との間に親子会社関係を創設するために株式交付子会社の株式等を譲り受け、その対価として株式交付親会社の株式等を交付する制度です[1]

 株式交付制度は、株式会社が他の株式会社を買収してその子会社としようとする場合において、株式交換と同様の規律を適用するものとして、株式会社がその株式等を対価とする手法により円滑に他の株式会社をその子会社とすることができるように見直すべきであるという指摘等を踏まえ、新たに設けられました[2]


[1] 竹林俊憲『一問一答 令和元年改正会社法』(商事法務・2020年)185頁。
[2] 竹林俊憲『一問一答 令和元年改正会社法』(商事法務・2020年)191頁。

株式交付制度を利用することができる場合

 改正法§2㉜の2には、株式交付制度は、「株式会社が他の株式会社をその子会社(法務省令で定めるものに限る。……)」とする場合に利用することができると定められています。したがって、株式交付制度は、基本的に親子会社関係創設に利用する制度ということができますが、親子会社関係創設の場合であれば、常に利用できるかといえば、そういうわけではありません。

 株式交付制度を利用することができる場合は、株式交付子会社の議決権の総数に対する株式交付親会社(その子会社及び子法人等を含む)の計算において所有している議決権の数の割合が50%を超える場合に限定されています(改正施行規則§4の2,§3Ⅲ①)。

 かかる限定の趣旨は、株式交付の要件充足の有無を客観的・形式的に判断できるようにすることで、後々、株式交付の要件を充足していないことが判明するなどして、法律関係に混乱をきたす事態が起きないようにすることにあります。 そういうわけで、実質的判断を伴う改正施行規則§3Ⅲ②及び改正施行規則§3Ⅲ③に掲げる場合には、株式交付制度を利用することができないこととされています。

株式交付に関する手続

⑴ 株式交付親会社が履践すべき手続

ア 株式交付手続及び開示手続等

 株式交付親会社は、株式交付にあたり、以下の手続を履践する必要があります。

(ア) 株式交付計画の作成

まず、株式交付親会社は、株式交付計画を作成する必要があります(改正法§774の2)。 株式交付計画においては、株式交付子会社の商号・住所、株式交付親会社が譲り受ける株式交付子会社株式の数の下限、株式交付親会社が株式交付子会社株式の譲渡人に対して当該株式の対価として交付する株式交付親会社株式の数又はその算定方法、株式交付子会社株式等の譲渡しの申込みの期日、株式交付の効力発生日[1]等、改正法§774の3Ⅰ各号所定の事項を定める必要があります。

(株式交付計画)
第七百七十四条の三 株式会社が株式交付をする場合には、株式交付計画において、次に掲げる事項を定めなければならない。
 株式交付子会社(株式交付親会社(株式交付をする株式会社をいう。以下同じ。)が株式交付に際して譲り受ける株式を発行する株式会社をいう。以下同じ。)の商号及び住所
 株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式の数(株式交付子会社が種類株式発行会社である場合にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)の下限
 株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の株式の譲渡人に対して当該株式の対価として交付する株式交付親会社の株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式交付親会社の資本金及び準備金の額に関する事項
 株式交付子会社の株式の譲渡人に対する前号の株式交付親会社の株式の割当てに関する事項
 株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の株式の譲渡人に対して当該株式の対価として金銭等(株式交付親会社の株式を除く。以下この号及び次号において同じ。)を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
 当該金銭等が株式交付親会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのイに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのロに規定する事項
 当該金銭等が株式交付親会社の社債及び新株予約権以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
 前号に規定する場合には、株式交付子会社の株式の譲渡人に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
 株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の株式と併せて株式交付子会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)又は新株予約権付社債(以下「新株予約権等」と総称する。)を譲り受けるときは、当該新株予約権等の内容及び数又はその算定方法
 前号に規定する場合において、株式交付親会社が株式交付に際して株式交付子会社の新株予約権等の譲渡人に対して当該新株予約権等の対価として金銭等を交付するときは、当該金銭等についての次に掲げる事項
 当該金銭等が株式交付親会社の株式であるときは、当該株式の数(種類株式発行会社にあっては、株式の種類及び種類ごとの数)又はその数の算定方法並びに当該株式交付親会社の資本金及び準備金の額に関する事項
 当該金銭等が株式交付親会社の社債(新株予約権付社債についてのものを除く。)であるときは、当該社債の種類及び種類ごとの各社債の金額の合計額又はその算定方法
 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権(新株予約権付社債に付されたものを除く。)であるときは、当該新株予約権の内容及び数又はその算定方法
 当該金銭等が株式交付親会社の新株予約権付社債であるときは、当該新株予約権付社債についてのロに規定する事項及び当該新株予約権付社債に付された新株予約権についてのハに規定する事項
 当該金銭等が株式交付親会社の株式等以外の財産であるときは、当該財産の内容及び数若しくは額又はこれらの算定方法
 前号に規定する場合には、株式交付子会社の新株予約権等の譲渡人に対する同号の金銭等の割当てに関する事項
 株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡しの申込みの期日
十一 株式交付がその効力を生ずる日(以下この章において「効力発生日」という。)
 前項に規定する場合には、同項第二号に掲げる事項についての定めは、株式交付子会社が効力発生日において株式交付親会社の子会社となる数を内容とするものでなければならない。
 第一項に規定する場合において、株式交付子会社が種類株式発行会社であるときは、株式交付親会社は、株式交付子会社の発行する種類の株式の内容に応じ、同項第四号に掲げる事項として次に掲げる事項を定めることができる。
 ある種類の株式の譲渡人に対して株式交付親会社の株式の割当てをしないこととするときは、その旨及び当該株式の種類
 前号に掲げる事項のほか、株式交付親会社の株式の割当てについて株式の種類ごとに異なる取扱いを行うこととするときは、その旨及び当該異なる取扱いの内容
 第一項に規定する場合には、同項第四号に掲げる事項についての定めは、株式交付子会社の株式の譲渡人(前項第一号の種類の株式の譲渡人を除く。)が株式交付親会社に譲り渡す株式交付子会社の株式の数(前項第二号に掲げる事項についての定めがある場合にあっては、各種類の株式の数)に応じて株式交付親会社の株式を交付することを内容とするものでなければならない。
 前二項の規定は、第一項第六号に掲げる事項について準用する。この場合において、前二項中「株式交付親会社の株式」とあるのは、「金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)」と読み替えるものとする。


[1] 効力発生日の変更等につき、改正法§816の9参照。

(イ) 株式交付計画の内容等記載書面等の備置等

 次に、株式交付計画備置開始日から効力発生日後6ヶ月を経過するまでの間、株式交付計画の内容等を記載した書面等をその本店に備え置き、その株主及び債権者による閲覧等に供する必要があります(改正法§816の2,改正施行規則§213の2)。

株式交付計画の内容
下限についての定めが効力発生日において株式交付親会社の子会社となる数となる旨の要件を満たすと株式交付親会社が判断した理由
株式交付の対価についての定め(改正法§774の3Ⅰ③~⑥)の相当性に関する事項
新株予約権等を譲り受ける場合は当該新株予約権等の対価ついての定め(改正法§774の3Ⅰ⑧,⑨)の相当性に関する事項
株式交付子会社についての最終事業年度に係る計算書類等に関する一定の事項(改正施行規則§213の2④イ,ロ,ハ)
株式交付親会社についての最終事業年度の末日後の会社財産の状況に重要な影響を与える事象等の一定の事項(改正施行規則§213の2⑤イ,ロ)
債権者異議手続において異議を述べることができる債権者があるときは、効力発生日以後の株式交付親会社の債務の履行の見込みに関する事項
株式交付計画備置開始日後効力発生日までの間の変更後の㋐~㋖の各事項

(ウ) 株主総会特別決議による承認

 効力発生日の前日までに、株式交付計画について、株主総会特別決議による承認を得る必要があります(改正法§816の3Ⅰ,§309Ⅱ⑫)[1]

 株式交付計画の承認議案に係る株主総会参考書類には、次の事項を記載する必要があります(改正施行規則§91の2各号)。

  • 株式交付を行う理由
  • 株式交付計画の内容の概要
  • 招集決定日における事前開示事項(改正施行規則§213の2①~④)の内容の概要

 なお、株式交付において交付する対価の合計額の株式交付親会社の純資産額に対する割合が5分の1を超えない場合には、原則として、株式交付親会社の株主総会の特別決議によって株式交付計画の承認を得る必要はありません(改正法§816の4Ⅰ本文、簡易手続)[2]


[1] 株式交付親会社において差損が生じた場合の取締役の説明義務につき、改正法§816の3Ⅱ参照。
[2] 例外につき、改正法§774の4Ⅰ但書,Ⅱ参照。

(エ) 株式交付計画の内容等の通知等

 株式交付親会社は、株式交付子会社の株式の譲渡しの申込みをしようとする者に対し、次の事項を通知する必要があります(改正法§774の4Ⅰ,改正施行規則§179の2Ⅰ)[1]

  • 株式交付親会社の商号
  • 株式交付計画の内容
  • 交付対価について参考となるべき事項
  • 株式交付親会社の計算書類等に関する事項

 株式交付子会社の株式の譲渡しの申込みをする者は、株式交付計画で定められた期日までに、以下の事項を記載した書面を株式交付親会社に交付する必要があります(改正法§774の4Ⅱ)[2]

  • 申込みをする者の氏名又は名称及び住所
  • 譲り渡そうとする株式交付子会社株式の数(株式交付子会社が種類株式発行会社の場合は、株式の種類及び種類ごとの数)

[1] 次の㋐~㋒のいずれかに該当する場合は、申込みをしようとする者に対する通知を行うことを要しません(改正法§774の4Ⅳ,改正施行規則§179の3)。
 ㋐申込みをしようとする者に目論見書(金融商品取引法§2Ⅹ)を交付している場合
 ㋑目論見書に記載すべき事項を電磁的記録により提供している場合
 ㋒株式交付親会社が外国の法令に基づき目論見書その他これに相当する書面その他の資料を提供している場合
[2] 株式交付親会社の承諾を得て、電磁的方法による提供に代えることができます(改正法§774の4Ⅲ)。

(オ) 譲り受ける株式交付子会社株式の割当て等

 申込みを受けた株式交付親会社は、申込者の中から、㋐株式交付子会社株式を譲り受ける者、及び、㋑その者に割り当てる株式交付親会社が譲り受ける株式交付子会社株式の数を定めなければなりません(改正法§774の5Ⅰ前段)。

 その上で、株式交付の効力発生日の前日までに、申込者に対し、申込者から譲り受ける株式交付子会社株式の数を通知する必要があります(改正法§774の5Ⅱ)。

 当該通知を受けた申込者は、通知された株式交付子会社株式の数について、株式交付における株式交付子会社株式の譲渡人となります(改正法§774の7Ⅰ①)[1]


[1] 株式交付子会社の株式を譲り渡そうとする者が、株式交付親会社が株式交付に際して譲り受ける株式交付子会社の株式の総数の譲渡しを行う契約を締結する場合には、(エ)及び(オ)の手続を履践する必要がありません(改正法§774の6,§774の7Ⅰ②)。

(カ) 株式交付の効力発生[1]

 申込者が譲渡人となった場合、その者は、効力発生日、株式交付親会社から通知を受けた数の株式交付子会社株式を株式交付親会社に給付する必要があります(改正法§774の7Ⅱ)。なお、ここにいう「給付」には、権利の移転を第三者に対抗するために必要となる行為も含まれると解されています[2]

 そして、株式交付親会社は、効力発生日に、給付を受けた株式交付子会社株式を譲り受け、当該株式の譲渡人は、株式交付計画における対価に関する定めに従い、株式交付親会社株式、その他対価を取得し[3]、株式交付親会社の株主となります(改正法§774の11Ⅰ~Ⅳ)。


[1] 株式交付の効力が発生しない場合について、改正法§774の11Ⅴ①~④,§774の10前段参照。
[2] 竹林俊憲『一問一答 令和元年改正会社法』(商事法務・2020年)202頁。
[3] 株式交付の対価として株式交付親会社が交付する株式が振替株式である場合には、別途の手続が要求されます(振替法§86の3,§155Ⅰ,§160の2,§161Ⅱ,§189の2,§223の2等参照)

(キ) 事後開示手続

 株式交付親会社は、効力発生日後遅滞なく、以下の事項を記載した書面等を作成し、効力発生日から6ヶ月間、当該書面等をその本店に備え置き、その株主及び債権者による閲覧等に供する必要があります(改正法§816の8,改正施行規則§213の9)。

株式交付に際して株式交付親会社が譲り受けた株式交付子会社の株式の数
株式交付の効力発生日
▪ 株式交付親会社における改正法§816の5に基づく請求に係る手続の経過
▪ 株式交付親会社における改正法§816の6及び§816の8に基づく手続の経過
株式交付に際して株式交付親会社が譲り受けた株式交付子会社の株式の数(株式交付子会社が種類株式発行会社の場合は、株式の種類及び種類ごとの数)
株式交付に際して株式交付親会社が譲り受けた株式交付子会社の新株予約権の数
㋔の新株予約権が新株予約権付社債に付されたものである場合には、当該新株予約権付社債についての各社債(株式交付親会社が株式交付に際して取得したものに限る。)の金額の合計額
㋐~㋕に掲げるもののほか、株式交付に関する重要な事項
Column―株式交付子会社から新株予約権等を譲り受ける場合

 株式交付においては、株式交付親会社は、株式交付子会社の株式と併せて、株式交付子会社の新株予約権又は新株予約権付社債を譲り受けることができます(改正法§774の3Ⅰ⑦)。
 この場合も、上記(ア)~(キ)と同様の手続等が履践されることとなります(改正法§774の9)。 ただし、株式交付親会社は、譲り受ける株式交付子会社の新株予約権等の割当てにおいて、下限の制限なく、当該新株予約権等の数を申込者が申し込んだ数よりも減少させることができる点は、株式交付子会社株式を譲り受ける場合と異なっています(改正法§774の9・§774の5Ⅰ)。

イ 反対株主の株式買取請求

 株式交付親会社は、改正法§816の6,§816の7所定の反対株主の株式買取請求に関する手続を履践する必要があります(改正法§816の6Ⅲ,§816の7)。

ウ 債権者異議手続

 株式交付に際して株式交付子会社の株式及び新株予約権等の譲渡人に対して交付する金銭等(株式交付親会社の株式を除く。)が、株式交付親会社の株式を含む対価の総額の20分の1未満である場合以外の場合には、株式交付親会社は、債権者異議手続を履践する必要があります(改正法§816の8,改正施行規則§213の7)。

 具体的には、株式交付親会社は、次の事項を官報に公告し、かつ、知れている債権者には、各別に当該事項を催告する必要があります(定款において、時事に関する事項を掲載する日刊新聞誌に掲載する方法又は電子公告によって公告を行う旨を定めている場合は、定款所定の公告方法を各別の催告に代えることができます。)(改正法§816の8Ⅱ,Ⅲ,改正施行規則§213の8)。

  • 株式交付をする旨
  • 株式交付子会社の商号及び住所
  • 株式親会社及び株式交付子会社の計算書類に関する事項として改正施行規則§213の8で定めるもの
  • 債権者が一定の期間内(1ヶ月以上であることを要する)に異議を述べることができる旨

 債権者が上記期間内に異議を述べたときは、株式交付親会社は、当該株式交付をしても当該債権者を害するおそれがない場合を除き、当該債権者に対し、弁済し、若しくは相当の担保を提供し、又は当該債権者に弁済を受けさせることを目的として信託会社等に相当の財産を信託しなければなりません(改正法§816の8Ⅴ)[1]


[1] 債権者が異議期間内に異議を述べなかったときは、当該債権者は、株式交付について承認したものとみなされます(改正法§816の8Ⅳ)。

⑵ 株式交付子会社が履践すべき手続

 株式交付子会社においては、基本的には、特に履践すべき手続はありません[1]


[1] 株式交付による譲受けの対象となる株式交付会社の株式が譲渡制限株式である場合は、譲渡承認手続を履践する必要があり、また、株式交付による譲受けが公開買付規制の適用対象となる場合は、当該規制による制約を受ける(金融商品取引法§27の2Ⅰ②)などの例外はあります。

株式交付差止請求

 株式交付が法令又は定款に違反する場合において、株式交付親会社の株主が不利益を受けるおそれがあるときは、株式交付親会社の株主は、株式交付親会社に対し、株式交付をやめることを請求することができます(改正法§816の5本文)。

 ただし、簡易手続の要件を満たす場合(改正法§816の4Ⅰ本文)は、株式交付親会社の株主は、株式交付をやめることを請求することができません(改正法§816の5但書)。

株式交付の無効の訴え

 株式交付の無効の訴えについては、株式交換の場合等と同様に、法的安定性確保の見地から、特別の訴えが設けられています(改正法§828Ⅰ⑬)。

 株式交付の無効の訴えの制度概要は以下のとおりです。

提訴権者
(改正法§828Ⅱ⑬)
▪ 効力発生日において株式交付親会社の株主等であった者
▪ 株式交付に際して株式交付親会社に株式交付子会社の株式又は新株予約権等を譲り渡した者
▪ 株式交付親会社の株主等、破産管財人又は株式交付について承認をしなかった債権者
被告
(改正法§834⑫の2)
株式交付親会社
提訴期間
(改正法§828Ⅰ⑬)
効力発生日から6ヶ月
無効事由 解釈に委ねられるが、無効事由の典型例として、以下のものが挙げられる[1]。
・株式交付計画について法定の要件を欠く
・株式交付計画を承認する株主総会の決議に瑕疵がある
・株式交付計画の内容等を記載した書面等が備え置かれていない
・債権者異議手続を履践しなければならないにもかかわらず、履践しなかった
認容判決の判決効
(改正法§838,839)
(改正法§844の2)
▪ 対世効
▪ 将来効
株式交付親会社が当該株式交付に際して当該株式交付親会社の株式(「旧株式交付親会社株式」)を交付したときは、当該株式交付親会社は、認容判決確定時における当該旧株式交付親会社株式に係る株主に対し、当該株式交付の際に当該旧株式交付親会社株式の交付を受けた者から給付を受けた株式交付子会社の株式及び新株予約権等を返還しなければならない[2][3]
その他規律 ▪ 訴えの管轄・移送(改正法§835)
▪ 担保提供命令(改正法§836)
▪ 弁論等の必要的併合(改正法§837)
▪ 原告が敗訴した場合の損害賠償責任(改正法§846)

[1] 竹林俊憲『一問一答 令和元年改正会社法』(商事法務・2020年)222頁。
[2] この場合において、株式交付親会社が株券発行会社であるときは、当該株式交付親会社は、当該株主に対し、当該旧株式交付子会社株式等を返還するのと引換えに、当該旧株式交付親会社株式に係る旧株券を返還することを請求することができます(改正法§884の2Ⅰ後段)。
[3] 旧株式交付親会社株式を目的とする質権が設定されている場合は、当該質権は、返還される当該株式交付子会社の株式及び新株予約権等について存続します(改正法§884の2Ⅱ)。

対応必要事項(対応優先度・必要性:低)

  • 株式交付を行わない限り、対応は不要。

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