自分も司法試験受験生の頃,先輩方の司法試験の合格体験記にお世話になり,モチベーションを維持する上で役立っていたから,自分も司法試験に合格するまでの軌跡を振り返ってみます。
大学2年生
1 法律の勉強を始めるまで
大学2年まで体育会系運動部に所属していました。
しかし,度々試合で怪我をし,思うようにその競技に取り組めていなかったこと,また、学問に面白さを見出し、学問の道に進みたいと思うに至ったことなどから,引退しました。
2 法律の勉強の開始
それまで法律の勉強は定期試験の前夜に教科書をざっと眺めるくらいのことしかしていませんでしたが,大学2年時の冬休み,期末試験対策を兼ねて,旧司法試験の過去問に取り組みました。そのとき,意外と法律の勉強は面白いなと思い,法律の勉強をしてみることにしました。
そして、法律の勉強をするなら,何か目標があった方がもっと面白くなるだろうと思ったので,とりあえず予備試験を受験することにしました。
当時の勉強方法は,単に憲法,民法,刑法の基本書や百選を通読する程度のことでした。
しかし,徐々に予備試験のことを本気で考えるようになり,受験新報等で情報収集を行い,どうやら過去問集を解くのが効率的っぽいということが分かりました。
そこで,肢別本を購入し,7法について順に解いていくことにしました。
そのときは,闇雲に頭から問題を解くことを繰り返すだけでした。
大学3年生
1 初めての予備試験
予備試験の短答式試験は毎年5月にあるため,すぐに短答式試験の日が到来しました。
それまでにやっていた対策は,肢別本を各科目2~3周したこと,民事訴訟法と刑事訴訟法,会社法の基本書や百選を通読したことでした。
短答式試験を受験し,全く歯が立たないという印象を受けました。問題文を読んでも,一体何のことを言っているのかイマイチ分かりませんでした。
結果は,140点弱で不合格でした。思っていたより,点数は良かったです。
2 予備試験対策をもっと真剣に考える
この不合格から,なぜあれほど歯が立たなかったのか考えました。
自分はひたすら頭から肢別本を解くばかりで,横断的な知識が身に付いていなかったからではないかなどと分析しました。
そこで,それ以降の勉強では,制度間比較の視点を取り入れることにしました。
具体的には,肢別本で何か似たような制度が出てきたなと思ったら,この何か似ていて紛らわしい制度について基本書等で調べ,その比較ないし異同をまとめノートにまとめることにしました。
こうした比較の視点を取り入れることで,法律の制度に対する理解が深まり,記憶の定着度合いも向上しました。
また,肢別本を3周もやれば,ある程度,見覚えのある問題も増えてくるので,理解できてる肢には「〇」印,たまたま合ってただけの肢には「△」印,間違えた肢には「×」印をつけ,△と×の肢だけを解くなど,効率化を図りました。
3 論文式試験を意識するようになる
大学3年生の秋頃から,それまではずっと短答式試験の勉強をしていましたが,論文式試験の対策も意識するようになりました。
具体的に取り組んだことは,伊藤塾が出しているいわゆる「赤本」や,辰巳法律研究所が出している「えんしゅう本」に取り組んだことです(もっとも,この時期までこれらの問題集を一切やっていなかったわけではなく,大学2年冬以降,定期試験前になれば,これらの問題集に取り組んでいました)。
とりあえずこれらを順に頭から解き進めていきますが,なんでそのような答えになるのかイマイチよく分からず,結果,答案例を丸暗記しようとするような勉強法になっていました。
もっとも,当時,ゼミ論文を執筆しなければならず,その執筆にあたり,先端的な論点に関する論考等を読み漁ることに夢中になっていたので,あまり論文式試験の勉強は進んでいませんでした。
(ちなみに、ゼミ論文のテーマは、「MBO(マネジメント・バイアウト)において取締役が負う義務に関する考察」でした。当時、レックスHDのMBOに関する高裁判例が出されたことにより、議論が活発に行われていました。)
ゼミ論文執筆,論文式試験の勉強,短答式試験の勉強の比率は,6:2:2くらいだったと思います。
大学3年時の1月下旬にもなると,ゼミ論文も書き終えたので,いよいよ論文式試験の勉強を本腰入れて始めようということになりました。やっていたことといえば,基本的にあまり変わらず,予備校が出している問題集に取り組むこと,先輩から予備校の答練の問題と解説の一部を譲ってもらい,それに取り組むことくらいです。
一方で,短答式試験に落ちては本末転倒なので,短答式試験の勉強もやっていました。
この頃の論文式試験と短答式試験の比率としては,5:5くらいだったと思います。
短答式試験の勉強をするにあたっては,各肢の結論のみを記憶するのではなく,なるべく理由も記憶し,論述式試験で出題されたら,どのように論述するかということも意識して勉強するようにしていました。
大学4年生
1 2回目の予備試験
実力試しに,予備校の短答模試を受験することにしました。
このとき,肢別本は少なくとも各科目10周は回していたと思います。
あと,間違えた肢を中心に,その関連情報とともに,まとめノートにまとめて,寝る前とかに確認していました。
予備校の短答模試は2回受験し,1回目は190点程度,2回目は160点程度でした。
このように2回目は本番で不合格になってもおかしくない点数だったので,一層奮起しました。
そして,2回目の予備試験短答式試験当日,初めての予備試験と違い,手ごたえがありました。
結果は,190点程度とって短答式試験に合格しました。
ちなみに,昔は,ロースクールに入学するにあたり,適性試験という試験を受験することが義務付けられていました。
しかし,私は,短答式試験が終わるまで適性試験がどんな試験なのかを知りませんでした。
この適性試験は短答式試験のすぐ後に行われるのですが,1回目の適性試験は,一切対策することなく受験し,ほとんど歯が立たず,こりゃ無理だと思い,途中で帰りました笑
2回目の適性試験にあたっては,一応一通り過去3年分くらいの過去問は解きましたが,ちっとも適性試験の勉強が面白くなかったので,程々にし,あまり身も入っていませんでした。
適性試験のつまらない勉強するくらいなら,法律の力伸ばした方がよくねと思っていました。
そして,結果は,190点程度で一応足切りは免れましたが,何とも微妙な点数です。
2 論文式試験
論文式試験の日はすぐにやってきました。
論文式試験の対策としては,やはり予備校の問題集や旧司法試験の過去問をとにかく解き,論述パターンを頭に入れることでした。
旧司法試験の過去問は,「スタンダード100」をメインに使っていたと思います。
予備試験の過去問についても,前年度の分は取り組んだと思います。
論文式試験を受験しての手ごたえとしては,科目によっては手ごたえがあったものの,苦手意識のあった商法や刑事訴訟法や行政法は壊滅的でした。そもそも何を書けばいいのか分かりませんでした。
行政法に関しては,それまで事例問題を解いたことがほぼありませんでした。
結果は,700位くらいで不合格でした。
刑事訴訟法はF評価,行政法と商法はE評価でした。案の定な結果でした。
他方,憲法と刑法,民事訴訟法はA評価で,民法はB評価,実務基礎科目と一般教養はC評価でした。
ある程度勉強が進んでいた科目については,ちゃんと結果がついてきているので,1年みっちり勉強すれば,来年はいけるかなとも思いました。
3 ロースクール入試
ロースクール入試の対策は,一般に予備試験の対策と特に変わることはないと言われていたので,予備試験対策の勉強と大きく変えることはありませんでした。
変わった点といえば,ロースクール入試の過去問を検討することくらいでしょうか。
ロースクールは某国立大学院を3校受験しました。いずれも既修者コースです。
結果は,2勝1敗でした。
大学院1年目
合格した上記の2校のうち自宅から通いやすそうな1校に通うことにしました。
大学院に入学する前あたりから,予備校が出してる問題集以外の問題集や司法試験の過去問にも手を出すようになりましたね。
予備校が出してる問題集以外の問題集としては,憲法であれば,木村草太先生の「憲法の急所」,民法であれば,いわゆる「北大本」,刑法であれば,「刑法事例演習教材」,刑訴であれば,いわゆる「古江本」等の各科目の有名どころをやっていたと思います。
やがてロースクール生活が始まりました。
ソクラテスにビビっていたので,予習には余念がありませんでした。
その反面,予備試験の対策をする時間を捻出できず,全く予備試験のための勉強をすることなく,予備試験の短答式試験に突っ込みました。
結果は1年目と同じく190点くらいで合格でした。
そして,論文式試験についても,ほとんど対策しないまま突っ込みました。
まぁ,そりゃ対策していないのですから,普通に落ちますよね。
恐らくロースクールの授業の予復習に追われて,それに疲弊して,予備試験の対策をやらずじまいで終わったんじゃないかと思います。
他のロースクールのことはよく分かりませんが,他校の方の話を聞く限り,私が通っていたロースクールは出される課題の量がかなり多いようでしたので。
結果は500位くらいでした(成績通知書を紛失し,各科目の内訳は忘れました)。1年目よりも少し上がってはいましたが,本当であれば,ここで合格していなければなりませんでした。
ちなみに,この年の7月,ポケモンGOがリリースされ,ミーハーな私は,予備試験に不合格になった後,ポケモンGOばかりやっていました。そして,ポケモンGOから波及して,過去のポケモンのナンバリングタイトルでまだプレイしていなかったものもやるようになりました。また,ポケモンサン・ムーンもその頃発売されたので,プレイしました。レート対戦にドハマりし,翌年3月くらいまでポケモン廃人になっていました。レート2000を達成したのもこの頃です。
大学院2年目
1 危機感
大学院2年目に入り,さすがにそろそろ勉強しないといけないと思い,司法試験直前に見直せるまとめノート作りくらいはやっておこうということで,予備校の出している論証集をベースとして,少しずつまとめノートを作成しておりました。
ちなみに,刑事系は「合格論証集」,その他は「趣旨規範ハンドブック」をベースにしていました。
この頃,ポケモンはきっぱり止めていました。
とはいえ,司法試験までまだ1年あると思うと,それほど勉強に身が入らず,ダラダラといわゆる「大島本」を参照して,要件事実をまとめノートにまとめたり,「基本刑法」を参照して,構成要件をまとめノートにまとめたりしていたのではないかと思います。
あと,この頃,あまり事例問題を解く勉強はできていなかったように思います。
したがって,この時期の中心的な勉強はまとめノートづくりということになります(確か,この頃は,倒産法の演習授業の予習の量が膨大で,自習の時間が圧迫されていた気がする)。
一応,この年の9~10月頃までに一通りまとめノートを完成させることを目標にしていました。
ちなみに,大学院2年目は予備試験は受験していません。
2 答練の活用
(1) そして,あまりに悠長にしていたせいか,大学院2年目の9月頃,司法試験に落ちる夢を見ました。
これはマズいと思い,伊藤塾の「ペースメーカー論文答練」に申し込むことにしました。
伊藤塾の答練に申し込んだのは,伊藤塾に実績があったこと,アウトプットの機会は是が非でも設けなければならないと思っていたこと,9月中に申し込めば,答練の料金が半額以下になるっぽかったことなどが理由だったと思います。
今思えば,10月から1月のコースにしておくべきだったと思いますが,当時あまりに勉強をしていなかったので,答練受けても,何も書けっこないと思い,12月から3月のコースにしました。
ちなみに,論文式試験の答練のみで,短答式試験の答練は受講していません。
答練が始まるまでの12月までの間は,とにかく「えんしゅう本」や司法試験の過去問(平成20年度以降の分のみ),受験新報・法学教室等から問題を探して,手当たり次第事例問題を解いていたと思います。
民事訴訟法に限っては,あまり好みの新司法試験対応の問題集がなかったので,藤田弘美「解析 民事訴訟〔第2版〕」(東京大学出版会・2013年)を使って,旧司法試験の問題も検討していました。
もっとも,フルで答案を作成をすることはなく,主に頭の中で答案構成をして,合っているかどうかを解説等を読んで確認するくらいにとどめていました。
なお,司法試験の過去問の検討は,「憲法ガール」や「行政法ガール」,辰巳から出てる,学者が司法試験の解説してる本(いわゆる「LIVE本」)とかを使ってやっていました。
この頃,以上のような事例問題の検討が中心でしたが,民訴と刑訴に関しては,百選の通読もやっていました。
ちなみに,まとめノートを一通り作り終えたのは,11月頃だったと思います。
まとめノートは以下のような感じです。
画像1枚目のように,答練等でできなかったことをもとに,次できるようにするための対策をメモしたりもしています。
また,自分の場合,文章のままだと頭に入りにくいので,図や表を多用していました。
まとめノート作成上の反省点としては,あまりにたくさんの情報を詰め込み過ぎ,直前にザッと見直すには骨が折れる量になってしまったことです(全科目合わせるとB4サイズで1,000頁以上あります(やりすぎ))。
ちなみに,論点の横に赤い文字で「H29」とか書かれているのは,司法試験で当該論点が出題された年度を指しています。
3枚目の画像で「H29」の下に「(参考)」と書かれていますが,これは,その年度の司法試験でドンピシャの論点ではないけれど,関連する論点が出題されたということを意味するものです。
予備試験で出題された論点等が,その翌年や翌々年に司法試験で出題されたという例もあったことから,「予H27」などと当該論点等が予備試験で出題された年度が記載されていることもあります。
また,緑色で「〇」印が付けられていたり,緑色のマーカーが引かれていますが,これは,各種受験雑誌等が出題を予想していたり,私自身が出題可能性が高いと考えた論点等を指しています。
黄色のマーカーや太字になっている箇所については,重要なキーワードを指しています。
他にも,チェックボックスに「✓」を付けているものは「記憶済み」,「△」を付けているものは「文言の記憶は不要だが,理解はしておく必要があるもの」,「×」を付けているものは「余裕があれば参照するもの」などというようなマイルールも存在しています。
いかんせんまとめノートの分量が多いので,このように自分ルールを定めて,まとめノートを読むときもメリハリをつけていました。
(2) そうこうしているうちに12月になり,答練が始まりました。
30点しかとれないこともあれば,80点とることもあったり,なかなか点数が安定しませんでした。
このときは,答練の復習と司法試験(平成20年度以降の分のみ)や予備試験の過去問の検討,まとめノートの補充が勉強の中心でした。
あと,選択科目に関してのみ,ロースクールの友人とゼミを組み,1週間に1回くらいのペースで,「ロースクール倒産法」を検討したり,司法試験の過去問をフルで書いて,相互に出題趣旨等をもとに添削し合いました。
(ちなみに,「ロースクール倒産法」の検討について少し説明しますと,ゼミのメンバーに問題を適当に割り当て,その問題の担当者となったメンバーが,レジュメ等を作成し,他のメンバーにその問題を解説するという結構ヘビーな方法でやっていました笑 これでけっこう倒産法の力が付きました。本番の倒産法の点数は60点程とれました。ただ,解答等はないため,よほど実力がある人でない限り,独学で「ロースクール倒産法」に取り組むのはオススメしません。自分らの場合,授業でこれを使っていたため,活用しないのはもったいないという程度の理由でゼミを組んで取り組むことにしました。)
普段は司法試験や予備試験の過去問を検討し,答練が近づいてきたら,まとめノートでインプットして,答練に臨みます。
ただ,知識に偏りがあり,多くの受験生が知っている基本的な問題でも,知らず,解けないということが顕著だったので,知識の穴を埋めるため,普段の勉強はインプットの比重が大きかったのではないかと思います。
ただ,それでも答練に加え,少なくとも週に2,3回程度はフルで答案を書く機会を設けていました。
ちなみに,この頃,市販の問題集を全くやらなかったわけではありません。市販の問題集もやっていました。
しかし,それはあくまで答練や司法試験等の過去問を解いたり,まとめノートを読む中で,躓いた論点等を理解する限度でです。
すなわち,ある問題領域に関して,それが具体的にどのような形で事例問題で出題されるのかイメージが湧かないときに,その限度で事例問題集を活用していました。
自分の事例問題集の活用方法は,基本的に,頭から順に解くのではなく,司法試験の過去問等の分析を通じて抽出される司法試験の出題傾向に沿って,出題可能性が高そうな論点を取り扱っている問題を各種問題集から探してきて,取り組むというものでした。
自分の場合,問題集を頭から順にやろうとすると,内容を理解することではなく,問題集を終わらせることが目的化してしまいます。
そうすると,せっかく問題集を一冊終わらせたのに,いざ振り返ってみたら,ほとんど何も残っていないということが常であり,それでは問題集をやった意味がありません。
どうすれば,問題集の内容が強く記憶に残るか試行錯誤した結果,その時々の必要に応じて該当する箇所の問題を解くというのが,自分に最もマッチした問題集の取組み方だったのです。
だから,ちゃんと最初から最後まで順に全部やった問題集ってほとんどないんじゃないですかね。
ちなみに,司法試験の出題傾向は,実際に司法試験の過去問を解くことを通して掴むのが理想ですが,自分の場合は,司法試験まで時間もなかったということもあり,司法試験の過去問の検討のほか,受験新報が時々過去の司法試験の出題分野を一覧表にしてまとめてくれてるので,それを参照して,把握していました。
大学院修了後
1 司法試験直前期
時間の流れというのは早いもので,来る日も来る日も「司法試験の過去問等での問題演習等→まとめノートでのインプット→答練の受験→答練の復習」というサイクルを繰り返していると,気付いたら,3月になっていました。
3月下旬には,TKCの全国模試を受験しました。
問題を見て,全く何を書けばいいのか見当もつかないということはほぼありませんでした。
結果は,上位11%くらいでした。
油断はできないけど,本番に向けて,さらに勉強を加速させれば,司法試験に合格できると思いました。
模試の前に短答式試験の勉強をしたかったのですが,間に合わず,模試が終わってから,短答式試験の勉強をしました。本番までに肢別本を2周しました。
司法試験1か月前は,一般に短答式試験の勉強のウエイトを増やしていくものですが,自分の場合は,短答式試験の勉強はそこまでやらなくても,ある程度とれると思っていたので,相変わらず論文式試験の勉強に力を入れていました。
比率にして,論文:短答=7:3くらいだったと思います。
論文式試験の勉強でやることはそれまでと変わりません。
司法試験と予備試験の過去問や答練で解いた問題,定評のある問題集の問題の検討,まとめノートでのインプットです。
定評のある問題集とは,「刑法事例演習教材」とか「事例研究 行政法」とかです。
「刑法事例演習教材」は,前年の上位合格者がネット上に参考答案例を公開していたので,それを参考にして勉強していました。
「刑法事例演習教材」に関しては,司法試験のネタ本と言われていたので,直前期に1周と苦手なところをもう1~2周したと思います(まぁ,司法試験では,刑法も一気に出題傾向を変えてきて,この努力があまり報われなかったのですが…)。
この時期も,司法試験10日前になるまでは,週に2~3回程度は,本番よりも10分程度短い試験時間に設定して,フルで起案をするようにしていました(司法試験10日前からはほぼインプットとしてまとめノートの読込み)。
最終的に本番までに司法試験の過去問は平成20年以降のものを3周やりました(ただし,憲法と行政法は,フル起案を憲法は1回,行政法は2回しかせず,残りは答案構成と参考答案や再現答案の読み込みにとどめていました。大した理由はなく,めんどくさかったからです笑)。
この頃は,食事,1時間のランニング以外の時間は,ずっと勉強していました。
刑事系科目が抜群にできて,何か質問すれば,壁打ちのように答えが返ってくる同級生に刑法や刑訴に関する質問をして,気分転換を図ったりもしてました。
2 司法試験受験
そして,司法試験本番。
出題形式に変更があったり,「あれ?俺の知ってる司法試験じゃない。」となり,動揺しましたが,気持ちだけは強く持とうと思い,何とか乗り切りました。
試験が終わって,試験を思い返してみると,あれもできなかった,これもできなかったということがたくさん出てきました。
だから,正直,落ちてるかもと思いました。
もし試験に落ちていたら,自分でバイトで生計立てながら,司法浪人をやることになるので,後でお金に困ることがないよう先にバイトも始めていました。
また,この時期は,規模が大きめの企業法務系法律事務所の就活が盛んに行われている時期ですが,法律事務所への就活は特にやっていませんでした。
3 合否発表
2018年9月11日,結果発表の日が来ました。
正直,受験の日から結果発表の日まで本当に長かったです。
自分が試験でできなかったことを洗い出すには十分すぎる時間でした。
結果発表日までバイトや趣味等,勉強以外のことに時間を使うようにし,なるべく試験のことを考えないようにしていましたが,あるふとした瞬間に,あの問題間違えてないかとか,あの問題に対する回答の言い回しはもっと良くできたとか,閃いてしまうのです。
そうして,あまりにもできていないことが多いと分かっていたので,結果発表日には合格してるイメージをもつことができませんでした。
したがって,あまり期待せずに結果発表を見ました。ダメだったとき,親をはじめとして,お世話になった人になんて言おうって考えながら,見てたと思います。
しかし,結果は合格でした。
「なんで俺の番号あんねん…。」っていうのが最初の感想だったと思います。
不合格の未来も受け入れ,腹を括っていたとはいえ,やはり合格したい気持ちは強かったため,合格であると分かって,何年ぶりかに嬉し泣きました。
なお、短答式試験の順位も論文式試験の順位も人様に言えるほど良いものではありませんでした。
司法試験に合格するまでは、順位は何位でもいいから、とにかく合格してて欲しいって思うけど、いざ微妙な順位で合格してみると、上位合格するためにもっと勉強してればよかったと思うのはあるあるですよね笑
おわりに
つらつらと司法試験に合格するまでの流れを述べてきました。
教訓等という高尚なものはありませんが,毎日毎日来る日も来る日も分からないことを1つ1つ愚直に潰していった先に司法試験合格があると思って勉強していました(解決した疑問は,またすぐに記憶喚起し,記憶定着を図れるようにまとめノート等に残しておく)。
今している勉強は,司法試験に合格するために必要な勉強か,常に自問自答することは必要ですが,あまり先のことを考えすぎると不安が煽られるだけなので,必要以上に先のことを考えないようにしており,割と楽しい受験生活を送れていました。
もちろん不安になるときもありましたが,そのときは,「今,勉強しないよりも勉強した方がきっとマシな未来が待ってるぜ。不安をなくすには,今,勉強する以外に方法はないぜ。だから,今はあまり先のことを考えず,目の前にある自分の課題を一つずつ潰していこうぜ。」と自分に言い聞かせていました。
ちなみに,話が大きく変わりますが,まとめノート作成の是非については賛否両論あるため,自分の見解を少し述べさせてもらいますと,自分の理解を助けたり,直前ザッと記憶喚起するのに使うといった明確な目的があるなら,作成して良いというのが持論です。
ただ,その目的を超えて,枝葉末節の論点に関する詳細な学説の対立をまとめだしたり,まとめノートのレイアウトに凝りだしたりすると,危険信号です。
あと,まとめノートを作成する際は,なるべく基本書等の文章をそのままコピペしたりするのではなく,自分の言葉でまとめ直すのが良いと思います。
基本書等にある文章は所詮他人の言葉に過ぎず,自分のものではないので,その字面を負うだけでは,通常,真の理解は伴いません。
まとめノートを作るかどうかはともかくとして,一度は重要論点等について自分の言葉で説明できるようにしておいた方がいいでしょう。
自分の場合,その「自分の言葉で説明する」というプロセスをまとめノートを利用して行っていたということです。
このような意識でまとめノートを作成していたため,まとめノートを作成することで,自然と重要論点等に関する理解が深まりました。
また,私は,必要な情報が散逸している状態が嫌なので,まとめノートに必要なあらゆる情報を一元化することは自分の性に合っていたんだと思います(旧司法試験の苦手な問題とその解答をまとめノートに挟み込んだりもしていました)。
私のように「情報の散逸」を嫌う方は,趣旨規範ハンドブックとか合格論証集とかですとどうしても紙幅の限界や書籍の劣化といった物理的制約を受けざるを得ないので,パソコンでまとめノートを作成してみるというのも合理的な手段たり得るのではないでしょうか。
以上が私の合格体験記になります。
乱文でお見苦しい文章だったと思いますが,最後まで読んでくださり,ありがとうございましたm(__)m
✥ よく参照していた基本書等(2019年12月21日現在の最新版を掲載)
● 憲法
・渡辺康之ほか「憲法Ⅰ」(日本評論社・2017年)
・木村草太「憲法の急所〔第2版〕」(羽鳥書店・2017年)
・木村草太「司法試験論文過去問LIVE解説講義本 木村草太憲法 (新Professorシリーズ)」(辰巳法律研究所・2014年)
・長谷部恭男ほか編「憲法判例百選〔第7版〕」(有斐閣・2019年)
● 行政法
・ロースクールで配布された講義資料
・曽和俊文ほか編「事例研究 行政法〔第3版〕」(日本評論社・2016年)
● 民法
・山本敬三「民法講義1〔第3版〕」(有斐閣・2011年)
・佐久間毅「民法の基礎2 物権〔第2版〕」(有斐閣・2019年)
・松井宏興「担保物権法〔第2版〕」(成文堂・2019年)
・潮見佳男「債権総論〔第5版〕」(信山社・2018年)
・山本敬三「民法講義<4-1>契約」(有斐閣・2005年)
・潮見佳男「債権各論<1>〔第3版〕」(新世社・2017年)
・潮見佳男「債権各論<2>〔第3版〕」(新世社・2017年)
・松久三四彦ほか「事例で学ぶ民法演習」(成文堂・2014年)
・潮見佳男=道垣内弘人編「民法判例百選〔第8版〕」(有斐閣・2018年)等
・大島眞一「完全講義 民事裁判実務の基礎〔第3版〕」(民事法研究会・2019年)
・岡口基一「要件事実マニュアル」(ぎょうせい)
● 商法
・伊藤靖史ほか「会社法〔第4版〕」(有斐閣・2018年)
・岩原紳作ほか編「会社法判例百選〔第3版〕」(有斐閣・2016年)
・前田雅弘ほか「会社法事例演習教材〔第3版〕」(有斐閣・2016年)
・末永敏和「司法試験論文過去問LIVE解説講義本 末永敏和商法 (新Professorシリーズ) 」(辰巳法律研究所・2017年)
● 民事訴訟法
・和田吉弘「基礎からわかる民事訴訟法」(商事法務・2012年)
・藤田弘美「解析 民事訴訟〔第2版〕」(東京大学出版会・2013年)
・高橋宏志ほか編「民事訴訟法判例百選〔第5版〕」(有斐閣・2015年)
・和田吉弘「司法試験論文過去問LIVE解説講義本 和田吉弘民事訴訟法 (新Professorシリーズ) 」(辰巳法律研究所・2014年)
● 刑法
・大塚裕史ほか「基本刑法」(日本評論社)
・井田良ほか「刑法事例演習教材〔第2版〕」(有斐閣・2014年)
・前田雅英「司法試験論文過去問LIVE解説講義本 前田雅英刑法 (新Professorシリーズ) 」(辰巳法律研究所・2016年)
● 刑事訴訟法
・宇藤崇ほか「刑事訴訟法〔第2版〕」(有斐閣・2018年)
・酒巻匡「刑事訴訟法」(有斐閣・2015年)
・古江頼隆「事例演習 刑事訴訟法〔第2版〕」(有斐閣・2015年)
・井上正仁ほか編「刑事訴訟法判例百選〔第10版〕」(有斐閣・2017年)
・新庄健二「司法試験論文過去問LIVE解説講義本 新庄健二刑訴法 (新Professorシリーズ) 」(辰巳法律研究所・2016年)
● 倒産法
・山本和彦ほか「倒産法概説〔第2版補訂版〕」(弘文堂・2015年)
・伊藤眞ほか「条解破産法〔第2版〕」(弘文堂・2014年)
・三木浩一=山本和彦「ロースクール倒産法〔第3版〕」(有斐閣・2014年)
・山本和彦ほか「倒産法演習ノート〔第3版〕」(弘文堂・2016年)
・伊藤眞=松下淳一「倒産法判例百選〔第5版〕」(有斐閣・2013年)
コメント