AIの発展の歴史と未来

 本稿では,AIの発展の歴史と未来を整理しています。

〔AI発展の歴史と未来〕
  • 1950年
    チューリングテストの提唱

    ・チューリングテストとは,アラン・チューリングが提案した,ある機械が「人間的」かどうかを判定するためのテストのことです。このテストは,人間が,隔離された部屋にいる人間とコンピュータに対してディスプレイとキーボードを介して様々な質問を行い,それに対する両者の返答について,どちらが人間によるものでどちらがコンピュータによるものかが区別できない場合には,コンピュータが知能を有していると判断するという方法で行われます。このチューリングテストは,現在においても,ある機械が人間的か否かを判断するために用いられているようです。

  • 1950年後半
    ~1960年代
    第1次AIブーム~推論・探索~

    ・1956年のダートマス会議で「AI(=Artificial Intelligence,人工知能)」という言葉が初めて生まれました。
    ・コンピュータに推論・探索させることで迷路やハノイの塔等の架空の簡単な問題(「Toy Problem」(おもちゃの問題))を解く研究が進みました。
    ・しかし,当時のコンピュータでは,複雑な現実の問題を解くことができないことが明らかになったため,1960年代には第1次AIブームは終息しました。

  • 1972年~
    エキスパートシステムの開発

    ・コンピュータに知識を取り込ませ,推論を行わせる研究が進み,専門知識に基づいて判断を自動化する「エキスパートシステム」が開発されました(最初に開発されたエキスパートシステムはMYCIN)。
    ・1979年には,MYCINの知識表現と推論を一般化したEMYCINが開発されました。

  • 1980年代
    ~1995年頃
    第2次AIブーム~知識~

    ・エキスパートシステム開発が盛況を呈するのに伴い,1984年には,知識記述の「Cycプロジェクト」が開始されました(現在も継続中)。
    ・また,1986年には,機械学習において,ニューラルネットワークを学習させる際に用いられるアルゴリズムである「誤差逆伝播法」が発表されました。
    ・しかし,エキスパートシステムを運用するのに必要となる膨大な知識を整理して管理するノウハウがなかったため,1980年代末葉には第2次AIブームは終息しました。

  • 1998年
    Googleの検索エンジン登場
    データマイニングに関する国際的な学会の発足

    ・この頃,ウェブページ上のテキストを扱うことのできる自然言語処理と機械学習の研究が大きく発展した結果,「統計的自然言語処理」と呼ばれる領域が急激に進展しました。

  • 2000年代
    ~現在
    第3次AIブーム~機械学習・特徴表現学習~

    ・2006年より機械学習の一種である「ディープラーニング」の研究・開発が進められ,2012年の画像認識コンテストにおいて,ディープラーニング技術を搭載したAI「SuperVision」が驚異的なエラー率の低さを叩き出しました。
    ・❶インターネットの普及,❷ウェブを通じた大量のデータの入手が可能になったこと,❸ハードウェアの処理速度の向上とコストダウン,❹大量のデータを低コストで保存できるクラウドの発達,❺ディープラーニングの考案・発展等の要因が重なり,2020年現在,第3次AIブームが巻き起こっています。
    *著名なAI
     例)ワトソン,Siri,Viv,Cortana,りんな,ペッパー,Alpha Go

    ・我が国においても,各業界がAIの開発・活用に積極的に乗り出しています。また,2018年6月には,経済産業省から「AI・データの利用に関する契約ガイドライン」が公表されました。

  • 2045年
    シンギュラリティ

    ・2045年頃には,AI自身の自己フィードバックで改良・高度化した技術や知能が,人類に代わって文明の進歩の主役になるとみる者もいます。こうしたAIが人類を超える時点のことを「シンギュラリティ」(技術的特異点)といいます。

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